食品を扱う企業は細菌やウイルスの繁殖を抑えて安全性を確保するため、適切な温度管理を行う必要があります。食中毒の原因となる細菌やウイルスにはサルモネラ菌や腸管出血性大腸菌、ノロウイルスやE型肝炎ウイルスなどが存在します。これらが付着した食品を食べると下痢や発熱、腹痛や吐き気などの症状が現れます。腸管出血性大腸菌は下痢や腹痛などの症状が現れるだけでなく、重篤な場合には命を落とすこともあるので注意しなければなりません。
食品を扱う企業にとって、適切な方法で温度管理を行い食中毒の発生を防ぐことは重要な課題です。世界の食品業界で主流となっている衛生管理手法であるHACCPは、もともとアメリカで宇宙食の安全性を確保するために開発されました。この衛生管理手法を導入すると、全ての工程において適切な温度管理を行い食中毒の発生を防ぐことができます。食品の製造と流通がグローバル化しており、日本でも2021年6月から全ての食品関連企業にHACCPの導入と運用が義務化されました。
HACCPでは微生物や化学物質、異物など食品に混入して健康被害をもたらす可能性がある危害要因を分析します。危害要因が健康に及ぼす悪影響を予測した上で明確なルールを定め、全工程を細分化してリスク管理を行います。この衛生管理手法の導入と運用が義務化されたことで、日本の食品業界ではより効果的な温度管理が行われるようになりました。食品の安全性を確保し食中毒などによる被害を防ぐためにHACCPが役立っています。